投資でセミリタイアする九条日記

ETF投資を中心に、太陽光投資や不動産投資、オプション、VIX、FX、CFDまで使ってセミリタイアを目指します

NISAかつみたてNISAかを、エクスポージャー総額で比較する

ごぞんじのとおり、金融庁の資産運用施策として、運用益に税金がかからないNISAとつみたてNISAがあります。投資をしていく人には必須の運用枠ですね。ただし問題は、NISAとつみたてNISAのどっちを使えばいいのか? ということです。似ているようで結構内容が違うので、比較に苦しみます。

 

今回は、エクスポージャー総額でNISAとつみたてNISAを比較してみることにします。

 

投資のパフォーマンスは、運用資金✕年数 で決まる

資産運用(Invest)といったときに、そのリターンを決めるパラメータはいくつかあります。アセットアロケーションもその一つですね。しかし、最も重要なのは、運用金額とその期間です。 運用金額✕年数が、資産の増え方に直結するわけです。

kuzyo.hatenablog.com

 この運用金額=リスクにさらしている部分を、エクスポージャーと呼びます。年あたりのエクスポージャーが大きいほど、期待リターンも高くなると考えられます。NISAもつみたてNISAもリターンに対する優遇策ですから、エクスポージャーが大きいほうの制度を利用するのが、期待される節税効果も大きいと考えられます。

 

では、どちらがエクスポージャーが大きいのでしょうか?

NISAとつみたてNISAの毎年のエクスポージャーを計算する

では、NISAとつみたてNISAでは年間エクスポージャーはどうなるでしょうか? NISAは毎年120万円までで5年間利用できます。利用可能期間は、2014年~2023年なので、2019年の今年から数えると、あと5年分利用できることになります。120万円✕5年✕5枠です。単純計算すると、3000万円年のエクスポージャーになります。

 

一方で、つみたてNISAはというと毎年40万円で、20年間に渡って利用できます。利用可能期間は2018年~2037年なので、19年分残っていますね。つまり、エクスポージャーは40万円✕20年✕19枠で、1億5200万円年となります。

 

ここまではよくある計算ですが、実はNISA利用期間が終わったあとはつみたてNISAが利用可能になります。最初はNISAを使い、2024年〜2037年の期間はつみたてNISAを使うと、さらに14年分の枠を利用できることになります。3000万円年+40万円✕20年✕14枠なので、1億4200万円年です。

 

グラフにすると下記のようになります。これは毎年のエクスポージャーの量なので、合計の面積が重要になります。つみたてNISAのほうが1000万円年分だけ、運用に回せる額=エクスポージャーが大きい計算ですね。

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投資した資金は複利で増加していく

もう一歩踏み込んでみます。投資した資金は当然ながら増加します。初年度こそ120万円の枠でも、2年目は運用リターンによって増加しており、それに対してまたリターンがつく、いわゆる複利で増加してくはずです。例えば、年6%で増加したらエクスポージャーはどのようになるでしょうか?

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こちらでも、NISAが2億3982万円年なのに対して、つみたてNISAが2億7957万円年と勝っています。これを見るとつみたてNISAの優位は揺るがないように見えます。

未来の価値を割り引いてNPVを出してみると

さらに踏み込んで考えます。投資や経済の世界では、今年の100万円と10年後の100万円は価値が違うと考えます。当然、今年の100万円のほうが価値が高いですね。今年の100万円を5%で運用したら、10年後には162万円になるからです。

 

そのため、将来の金額を現在の価値に計算しなおすことを割り引くといいます。割り引いて、現在価値として合算したものをNPV(Net Present Value)といいます。何パーセントで運用するかに相当するのが割引率です。投資では、国債などのリスクフリーレートにリスク・プレミアムを足して割引率を出す方法をよく使いますが、今回は未来のお金のほうが効用が小さいという考え方から、割引率3%と6%で試算してみます。

 

割り引くと、遠い将来の金額は小さく評価されるため、合計金額も小さくなります。横軸は想定リターンを置きました。

 

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まずは割引率3%です。想定リターンが大きいほど、未来の運用規模が大きくなるのでエクスポージャーは増加します。また割り引くので、未来になるほどエクスポージャーは小さく評価されます。合算すると、やはりつみたてNISAのほうが優勢です。想定リターンが0%と仮定しても、つみたてNISAのほうがエクスポージャーがわずかに大きくなりました。

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続いて割引率6%です。ここではこれまでにない変化が起きました。想定リターン0〜2%までは、NISAのほうが累計エクスポージャーが大きくなったのです。割引率を上げたことで、近い未来の評価が大きくなり、初期に大きな金額を運用できるNISAの価値が強くでたのでしょう。

 

それでも想定リターンが上がっていくと、つみたてNISAのほうがエクスポージャーが大きくなります。割引率6%で想定リターン2%のときの年次エクスポージャーの推移は次のグラフのようになります。

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ちなみに、2023年までNISAを使わず、3年程度NISAを利用して早めにつみたてNISAに移行した場合は、これまでの試算のちょうど中間のエクスポージャーとなりました。2019年からつみたてNISAに切り替える、NISAを最終年まで続けてからつみたてNISAに移行する、その中間にくるということです。

そうはいっても今から40年も投資は続けない

いくつか計算してきましたが、もう一つ重要なパラメータがあります。つみたてNISAの最終年は2037年で、そこから20年間の非課税期間なので、運用枠が終了するのはなんといまから38年後の2056年なのです。

 

社会人1年めの22歳の人でも60歳、35歳の人は73歳、45歳の人は83歳に達していますね。積立期間でいっても、それぞれ40歳、53歳、63歳です。22歳のフレッシュマンはともかく、定年時には積み立てを停止すると考えると、枠の最終年まで使い切る想定は非合理的です。

 

そこで、2019年からの経過年ごとに累計エクスポージャーがどう推移するかもグラフ化してみました(割引率3%、想定リターン3%)。

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すると、17年間までは、つみたてNISAよりもNISAのほうが累計エクスポージャーが大きいことがわかります(想定リターンを6%に上げると15年で逆転です)。40代以上の人は、このあたりも考えてNISAかつみたてNISAかを選ぶといいでしょう。

割引率を考えるとあまり変わらない。割引率が0に近いならつみたてNISA

結局、割引率を入れてNPVを計算すると、NISAでもつみたてNISAでもそれほど変わらないという結論になりました。20年以上の投資期間を見込むならつみたてNISAのほうが優勢です。ただし今回割引率は恣意的なものなので、ほぼ0%だと考えるならつみたてNISAが有利です。

 

2つの制度の比較方法はいろいろありますが、今回自分が気になっていた手法で比較してみたことで、頭の整理ができました。