FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

太陽光発電のキャッシュフローの出方を試算する

太陽光発電への投資に対して、表面利回りで判断するのはたいへん危険だと思っています。20年目以降は固定買い取りが終了するので売上が見込めなくなるという点と、実はちゃんと法人税がかかってくるという点からです。 

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以前のIRRの計算では、借り入れのバランスと借り入れ金利によってIRRが大きく変化することを見ました。IRRで約10%前後でしょうか。ただし、この試算には重要な点が抜けています。土地の固定資産税こそ計算に入れましたが、資産償却税と法人税については敢えて入れていなかったからです。

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では、各種税金を織り込んで、実際の低圧発電所について、営業利益、税引き後利益、キャッシュフローの年次シミュレーションをしてみます。

 

太陽光発電では、初期のうちは減価償却費が大きいのと、借り入れの金利払い額が大きいので営業利益が赤字になります。今回のケースでは、当初3年間は赤字で4年目から黒字転換となります。赤字ということは法人税の支払いが発生しないということです。

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しかも、赤字は翌年に繰り延べることができます。最大で9年間ですね。計算するとちょうど8年でこれまでの赤字を足し合わせても利益が出る(累損一掃)となります。9年めからは法人税支払いが発生するということです。そのため、グラフを見ても分かるように、10年目以降、キャッシュフローが大きく悪化します。

 

不動産投資でいうデッドクロスですね。それでもキャッシュフローがプラスなのは、太陽光発電の、20年間ではあるが収益性の高さを物語ります。その後、14年めにパワーコンディショナー(パワコン)の交換費用を入れています。15年でローン返済が完了することで元金返済がなくなり、16年めからはキャッシュフローが跳ね上がります。17年で減価償却費が完了することで営業利益も跳ね上がります。営業利益が跳ね上がるということは法人税も増えるためキャッシュフローは減ってしまいます。

 

売上が安定しているように見える太陽光発電ですが、税金を計算に入れるとここまでドラスティックにP/Lが変化するわけです。

 

ちなみに、このシミュレーションでは、各種要素をかなり保守的に見込んでいます。パネルは毎年99.26%に出力が低下する前提です。電力負担金は100万円、草刈りなどのメンテナンス代は年間15万円を想定しました。また、売上には消費税を入れていませんが、発電システム購入には消費税を入れています。消費税還付も想定していませんし、各種税制優遇も入れていません。一方で、運営の箱となる法人の運営コストも入れていません。

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実運用では、こちらを20年間の中期予算として、毎年実際のP/Lと比較することになるでしょう。その予実をチェックし、さらに精度の高い中期計画にアップグレードすることで、運用状況を把握していくことになります。

 

なんだか勤め先の会社で中期計画を作っているような気分になってきましたが、完全に自分の会社で、この損益の責任がすべて自分にかかってくると思うと、案外予算を作るのも面白いものだから不思議なものです。