FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

Bitcoin Cashをハードフォークに備えbinanceへ

久々に仮想通貨の話題です。Bitcoin Cashを仮想通貨ポートフォリオの7%ほど所有していますが、このたびbinanceへ送金しました。11月15日にBitcoin Cashのハードフォークが予想されており、分岐後のコインを受け取るためです。

 

Bitcoin Cashは、2017年8月にオリジナルのbitcoinからハードフォークして生まれた仮想通貨です。当時、bitcoinはスケーラビリティの問題に直面しており、送金がうまくいかない(時間がかかる、手数料が高い)状況にありました。bitcoinコミュニティは、Segwitと呼ばれる解決策を提案し、問題の解決に当たろうとします。

 

ところが、一部のメンバーは、Segwitではなく、bitcoinの1MBというブロックサイズを引き上げることで対処するという別の提案を行いました。結局、議論は収束することなく、ブロックサイズ引き上げのメンバーたちがハードフォークさせて生み出したのがBitcoin Cashです。Bitcoin Cashのブロックサイズは、ハードフォークを通じて段階的に増やす方針であり、既に8MBから現在は32MBまで拡大しています。

 

ところが今回、さらにBitcoin Cash内のメンバーで意見対立が起こりました。Bitcoin Cash ABC派とBitcoin Cash SV派です。この2者は意見をすり合わせられず、今回11月15日にハードフォークで分岐する方針となりました。

coinchoice.net

 

仮想通貨がハードフォークすると、なぜか時価総額が上昇するという現象がこれまで見られてきました。例えば、Bitcoin Cashが分岐して生まれた際には、1BTCに対して1BCHが割り当てられ、市場では1BCHが4万円程度で取引されました。当時、bitcoinは28万円程度で取引されており、Bitcoin Cashはbitcoinの14%程度の価値がついたことになります。

 

普通に考えると、bitcoinが14%下落するはずですが、実際には価格は横ばい。単にBitcoin Cashの分だけ合算の時価総額が上昇する形になりました。

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※bitFlyerのチャートより

株式分割にたとえてみると?

仮想通貨のハードフォークは、言ってみれば株式分割に似ているともいえます。株式の場合、分割すると合計した価値が分割前の価値と同じになるのが基本です。ところが仮想通貨の場合はそうはなりませんでした。これにはいくつかの理由が考えられます。

 

1つは、株式分割でもそれによって時価総額の上昇が見られることです。古くは100分割を実施したライブドアなどが、これを株価上昇の錬金術として使っていました。1株あたりの価格を小さくすることで、小口での購入がしやすくなり、投資家が購入しやすくなるのが理由の1つでしょう。ただし、仮想通貨はそもそも小口で購入でき、同じようには考えられません。

 

2つ目は、以前の価格に引っ張られるというアンカリングです。人は非合理的な生き物で、上がった下がったを以前の価格を参照して考える癖があります。それによってbitcoinの価格が変わらなかったとも考えられます。

 

3つ目は、仮想通貨の値付け自体に理論的な根拠がないことです。株式の場合は、分割によって1株あたりの配当金や上昇期待値も減少します。それによって株価が計算され、適切な値段での取引となるわけでです。ところが仮想通貨では、そのような適切な価格の計算方法がありません。一方で、ハードフォークが起こったとしても、送金システムとしてのbitcoinの有用性は変わることはないので、ユーザーからすると価値の減少は起こらないのです*1

 

4つ目は、SNSやメディアがハードフォークを取り上げることで、注目が高まり購入したい人が増加している可能性です。先程、値段に根拠がないと書きましたが、だからこそ話題になったコインにはいろいろな人が飛びつきます。そのため、メジャーなコインからハードフォークしたほうが高い値段がつくようになります。

Bitcoin Cashのハードフォークをサポートする取引所

そんなわけで、久々の大型ハードフォークということで、どうせなら新しいコインをもらえる取引所にBitcoin Cashを移そうと考えました。ハードフォークしたときに、新しいコインを付与されるかどうかは取引所のポリシー次第なので、「付与します」と宣言している取引所のほうがうれしいわけです。

 

今回のハードフォークについては、国内外の取引所が対応を発表しています。

jp.cointelegraph.com

一方で、残念ながら現在ぼくがBitcoin CashをおいているBittrexは対応方針を出していないようです。なので、これを機にBinanceへの送金を試してみました。ハードフォークの基準となるスナップショットの取得は、11月16日の日本時間午前1時40分頃の予定のようです。

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*1:厳密にいうと、これまでbitcoinのマイニングを行っていたマイナーたちの一部がBitcoin Cashに移行するので、bitcoinの決済システムとしての堅牢性が減少します。これは決済システムとしての価値を下げるものなので、その分価格が下がっても良かったはずです。しかし、現在でもbitcoinの価格は必ずしもマイナーのCPUパワーには連動していないため、違う要因で価格が決まっていると考えられます