FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

100%即時償却 節税に使われる仮想通貨マイニング

仮想通貨を手に入れる手段といえば、取引所などで買うかマイニングするかです。しかし価格が上昇するどころか、アルトコインについては下落が続いている状況で、いったい誰がマイニングをやり続けているのかと思う人もいるでしょう。

 

実は、大きく利益が出た法人が、仮想通貨マイニングを使って節税に取り組むというメニューが増えてきているようです。

 

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仕組みとしては、「中小企業経営強化税制」というものを使います。これは、資本金1億円以下の中小法人や雇用者が1000人以下の個人事業者が利用できるもので、平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に機械設備などを取得した場合、その全額を減価償却せずに、即時償却できるという制度です。

 

この対象に、仮想通貨マイニング設備が入っているのですね。

 

購入した設備を即時償却できるということは、利益が大きく出た年にマイニング機器を買えば、自由に利益を圧縮することができます。そして、翌年からはマイニングが生み出す利益を手にすることができるわけです。つまり、利益を先送りし、平準化することで節税するという仕組みですね。

 

ただし、仮想通貨へそこそこ投資してきた身からすると、この方法はかなりリスキーだと思います。それはマイニングで得られるコインが少なくなってきている上に、コインの価格も下落傾向だからです。

 

kuzyo.hatenablog.com

 

 

仮想通貨のマイニングは、比較的シンプルな方程式で利益が決まります。マイニング機器の価値は、ハッシュレートと呼ばれる計算能力で表されます。ハッシュレートが大きいほど高い機器になるし、技術の進歩で同じ価格でもハッシュレートが大きくなったりもします。例えば、クラウドマイニングのGenesisMiningの場合、bitcoinなら1TH/s(秒間1テラハッシュ)が5年間で285ドルです。

 

そしてEthereumの場合は、75MH/sで1500ドル(2年分、GenesisMining)、先の節税向けマシンの場合、330MH/sで119万円になっています。GenesisMiningのほうは、1MH/sあたり2220円、節税向けマシンは3894円という計算ですね。GenessiMiningは2年分ですが、節税向けマシンは一応ずっと使えます。逆に、節税向けマシンは電気代が別途かかるります。1MHあたり6.36Wということなので、年間でざっくり1MHあたり1000円程度かかることになりますね。

 

 

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※GenesisMiningのEthereumプラン 3%引き紹介コードは「JfpE8P」

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※節税向けマシンのスペック

 

GenesisMiningはクラウドマイニングなので、2220円のほかにコストはかかりません。さらに、ボリュームディスカウントもあります。節税向けマシンは1000円足すと、1MHあたり4894円という感じです。2〜3年であればGenesisMiningのようなクラウドマイニングがお得、節税向けマシンが得になってくるのは5年くらいからでしょうか。

 

このハッシュレートごとに、得られる仮想通貨の量が大体決まってきます。

 

では、ハッシュレートあたりに掘れる仮想通貨の量はどのくらいなのでしょう? bitcoinでもEthereumでも、基本的には1ブロックあたりのマイニング報酬が決まっています。そして、ハッシュレートが高いほど、このブロックを採掘して報酬を得られる確率が高まるという仕組みです。

 

つまり、マイニングしている人が増えてハッシュレートの合計が高まるほど、ハッシュレートあたりの報酬は低くなるということになります。下記は、Etereumとbitcoinの合計ハッシュレートの推移です。

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Etherscanより

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Blockchain.infoより

このようにハッシュレートが増加することで、1MHあたりのコイン報酬は減少傾向にあります。ただし、昨年まではコイン自体の価格が上昇していたので、円建て、ドル建ての報酬はある程度維持されていました。

 

しかし、コイン価格が横ばいの現状では1MHあたりの報酬は厳しいことが予想されます。さらにEthereumでは、従来のPoW(ハッシュレートに応じたマイニング報酬)から、PoS(保有量に応じたマイニング報酬)への切り替えを目指しており、1ブロックあたりのマイニング報酬も段階的に下がってきています。昨年は1ブロックあたり5ETHでしたが、現在は3ETH。今年10月中に予定されているイーサリアムハードフォーク「Constantinopole」では、さらに2ETHまで減少するそうです。

 

マイニング業界全体では、1MHあたりのマシン価格はどんどん安くなっていますが、いったん機器を買ってしまったら、1HMあたりの価格が高いままで勝負しなくてはなりません。5年、10年同じマシンで戦えるというものではないでしょう。

 

そんなわけで、100%即時償却で直近の節税にはなりますが、そのコストを果たして取り戻すことができるかは微妙だと思います。マイニングは面白いものですが、けっこう難しいですね。