2017年の仮想通貨高騰では、どんな仮想通貨に投資していた人も大きく利益を享受しました。一方で、ゴールドラッシュの際に最も儲かったのがスコップを売っていた人であるように、仮想通貨業界で最も利益を出したのは取引所です。
日本でも、コインチェックの収益額が話題になりました。2018年3月までの1年間の営業利益はなんと537億円。ヤフーファイナンスによると、日本の上場企業の営業利益ランキングで200位が530億円なので、そこに匹敵する額です。
目を海外に向けると、さらにものすごい取引所があります。もともと中国内の仮想通貨取引所として始まったBinanceです。2017年7月に創業し、ちょうど1年になりますが、四半期の営業利益が既に200億円に達しています。
Binanceの面白いところは、規制産業といわれる金融業でありながら、世界のどの当局とも調整しようとせず、いわば無認可で営業を続けているというところ。さらに、資金調達も銀行借り入れやIPOといった手段を取らず、自らのBinance CoinをICOさせることで実行しました。
ぼくもBinance Coinをわずかに所有していますが、ポイントはいくつかあります。
- 2億Coinの総額が発行済
- CoinはBinanceでの取引手数料に充当でき、さらに割引も得られる
- 四半期利益の20%を使ってBinance Coinの焼却を実施している
- この焼却によって、Coinの価値が上昇するデフレ型のCoinとなっている
- Coinの焼却は、発行済Coinの50%または1億Coinを焼却するまで続ける
Bitcoinおよび主要仮想通貨が下落基調な中でもBinance Coinは好調で、CoinMarket Capによると時価総額は1756億円で、NEMに続く17位に付けています。
先ごろ、1年めとなる第4四半期の焼却が完了したようで、結果、Binanceのビジネスの好調具合も明らかになりました。
各国の規制から離れて果たして金融業はやっていけるのか。高収益の最大のポイントは、規制対応にコストをかけず、その分をユーザビリティやセキュリティに投資しているためだと思われますが、これは新たな企業のあり方の実験だともいえます。
最近だと、LINEが仮想通貨取引所を手がけるにあたり、規制が厳しい日本と米国の居住者を対象外とし、さらに法定通貨との交換を行わないとしています。今後、ICOも検討しているということで、Binanceのやり方をたどっているともいえるでしょう。
このBinance、国家の規制とは距離をおいていますが、金儲け至上主義かというとそうでもないようです。先日も、西日本豪雨に対して100万ドル相当の寄付を発表しています。