FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

投資とギャンブルの本質的な違い

投資の本などには、「投資はいいが、投機(ギャンブル)はいけない」とよく出てきます。なんとなく分かりますが、では何が投資で何がギャンブルなんでしょうか?

 

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定義はいろいろあると思いますが、僕はゼロサムゲームであるか否かがその違いだと考えています。ゼロサムゲームとは、複数の参加者がいるなかで、参加者の勝ち負けを合計するとゼロになるゲームを指します。

 

 

例えば仲間で集まって賭けポーカーをやった場合、勝つ人も負ける人も出ますが、勝ち負けの合計金額はゼロになります。つまりゼロサムゲームです。競馬の場合だと、馬券をみんなが購入した代金の合計から、勝者に分配されます。ここでも減った人と増えた人の合計金額はゼロです。実際には、競馬場が相当額をショバ代として取るので、その分を除くと参加者はマイナスサムゲームとなります。

 

ほぼすべてのゼロサムゲームでは、やりとりの場の提供者が手数料を取るので、手数料分を差っ引くとマイナスサムゲームになります。言い方を変えると、期待値はマイナスとなるわけです。これがギャンブルの本質です。

 

ではゼロサムではない、プラスサムになるものはどんなものがあるでしょうか? 例えば銀行預金を考えてみましょう。金利はわずかではありますが、預けた人すべてがプラスになります。これは分かりやすいプラスサムゲームの例でしょう。

 

株式投資も、長期的に見るとプラスサムです。下記は、東証のデータから、1966年以降の株式時価総額をグラフ化したものです。1990年のバブル以後は横ばいといえば横ばいですが、長期で見ると増加傾向です。

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ただしこのデータはインフレを加味していませんでした。そこで、消費者物価指数(CPI)の「持家の帰属家賃を除く総合」を使い、2015年を1として補正をかけたのが下記のグラフです。

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多少バブルへと向かう道のりが平坦になり、増加率が減少しましたが、大きなトレンドは変わりませんでした。

 

そのほか、ゼロサムゲームだと言われるものには、FXやオプション、先物など短期の差金決済系などがあります。ちなみに株式投資も、長期ではなく短期でトレードする場合はゼロサムゲームとなるでしょう。

 

ある物事に関わる人たちがいたとき、そこに金銭のやり取りしか発生しなければゼロサムゲーム(手数料を入れればマイナスサム)、金銭以外の価値も提供しているならプラスサム。そんなふうに言えそうです。

 

ここまで見て、では投機はギャンブルなので不要かと言うと、必ずしもそうはならないのがおもしろいとことです。それは、複数の手法を組み合わせる場合が多いからです。たとえば、先日の高利回りの外貨預金の為替リスクをヘッジするためにFXを組み合わせる手法がそうです。FX単体ではゼロサムですが、ここでは為替リスクをヘッジするために敢えて使っているわけです。

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同様に、オプションも単体で使えばゼロサムゲームでしょうが、通常はCFDや先物、現物株式と組み合わせて利用します。例えば現物株の暴落に対する保険としてプットオプションを買ったりするわけです。組み合わせの全体でプラスとなるようにかんがえているわけで、それは決してただのギャンブルとはいえないでしょう。