FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

レバレッジの意味と、リターンとリスクの関係

投資理論と呼ばれるものを勉強していくと、必ず出てくるのが「リターンとリスクは比例する。ハイリターンはハイリスク、ローリターンはローリスク」という説明です。

 

今回は、これを僕なりに読み解いていきたいと思います。

 

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リターンとリスクの比例関係は、教科書の知識としては分かっていましたが、それを実感したのは不動産投資やFXを調べ始めてからです。

 

 

例えば、100万円で利回り2%の投資先があったとします。この商品、いつ売っても買って100万円で値動きがないとしましょう。投資の世界では、値段の変化の大きさを「リスク」と呼ぶので、この投資先はノーリスクです。

 

この商品を買うのに、手元の100万円に加えて100万円を借りて、200万円分買ったとします。借りるときの利息もゼロと仮定すると、一年で得られる収入は4万円。つまり自己資金の100万円に対して4%の利回りになります。これがレバレッジです。人からお金を借りてくることで、利回りが上がるわけです。

 

900万円を借りて自己資金100万円と合わせて投資すれば、収入は20万円。実に利回りは20%まで上がりました。この仮定だと、借りられるだけ利回りが上がります。

 

値動きがなければ、借りれば借りるだけリターンが増える、つまりレバレッジをかけるほどリターンが増える。これを実感できるのが、FXのスワップポイントなどです。

 

といっても、実際は2つ、注意点があります。

 

1つは、一般に利息無しではお金は借りられないということです。1%の利息で900万円のお金を借りたとします。自己資金と合わせて1000万円を投資すると、収入は20万円ですが金利を9万円払わなければなりません。合算した自己資金に対する利回りは、11%に低下しました。

 

何かを買うためにレバレッジをかける場合は、買うための資金を借り入れるので利息がかかります。また、何かを売るためにレバレッジをかける場合、株式などではないものを売ることはできないので、誰かから借りてきてあとでかって返すというやり取りになります。この「誰かから借りてくる」のに利息がかかります。

 

ところが、FXやCFDに代表される「差金決済」といわれるものは、借り入れなしでレバレッジが効かせられるという特徴があります。ドルをレバレッジをかけて買う場合、ドルのポジション分の金利をもらうことはありますが(スワップポイント)、レバレッジのための借り入れ金利は発生しません。逆にドルをレバレッジをかけて売る場合、ドルのマイナスポジション分の金利を払う必要があります。

 

2つ目の注意点は、レバレッジをかけたポジションで損失が出てくると、追加の証拠金を求められたり、強制ロスカットされる場合があるということです。FXやCFDでは、何倍のレバレッジまで可能かが決まっています。例えば25倍のレバレッジが可能なら、1万円の証拠金で25万円のポジションを作れるということです。

 

ところが、25万円分のポジションが価格下落によって24万円になったとします。含み損が1万円出ていますので、証拠金1万円が相殺されて、ゼロ。強制ロスカットされて損失が確定されてしまうというわけです。

 

もともとは、投資家が証拠金を超える損失を被らないように強制ロスカットという仕組みがあると説明されますが、この強制ロスカットは困った仕組みです。というのも、一瞬でも含み損が膨らめば強制ロスカットされてしまうからです。つまり、一時的に下落しているだけで、すぐに価格が戻る場合、最悪の価格で損失が確定されることになるのです。

 

どんな投資商品でも、上がったり下がったりするわけで、「もう少し待てば価格が戻ったのに」ということはしばしばあります。なので、強制ロスカットは運用上、絶対に避けなければいけないものとなっています。

 

通常は、過去の価格の変動から、強制ロスカットの可能性をチェックし、よほどのことがあっても強制ロスカットが起きないレベルまで証拠金を入れる、つまりレバレッジを下げることになります。

 

そんななか、実は、10倍、20倍というレバレッジを効かせながら、強制ロスカットが存在しない商品が存在します。それが不動産投資です。頭金10%ならレバレッジ10倍ですし、頭金0%という非常に大きなレバレッジを効かせて投資も可能なのが不動産です。しかも、たとえ物件価格が下落して、借入金額を下回っても、FXのように強制ロスカットはありません。言い換えれば、いずれ不動産価格が戻ってくるまで待っていることが可能なのです。

 

不動産への融資は、購入時こそ、本人の給与や資産額などの属性や、物件の収益性や価格をチェックされますが、その後給与が減少したり資産がなくなったり、物件から収益がでなくなったり価格が減少したりしても、返済を続けられる限り借り入れは継続することができます。

 

この強制ロスカットが存在しないというのが、不動産投資でレバレッジをかけやすいポイントであり、制度の穴をついたハックだといえるのでしょう。

 

ここを深読みすると、不動産投資においてレバレッジはかけられるだけかけるほうがよいという結論になります。正確には、頭金+手持ち現金に対しての借り入れ額がレバレッジ比率ですので、手持ち現金を頭金に入れてレバレッジ比率を下げても、実質は変わらないということです。同様に、繰り上げ返済をしてもレバレッジ比率は変わらないということがわかると思います(繰り上げ返済分の現金を使わない前提で!)。

 

頭金を入れたり繰り上げ返済をすると、自由に使える流動性の高い現金が、固定化されてしまいます。レバレッジ比率が変わらないのであれば、現金が正義、というわけです。もちろん、頭金増や繰り上げ返済は、借入額を減らし、利息を減らすという意味はあります。しかし、現在の1%〜4%程度という借り入れ金利では、100万円に対して1万〜4万円でしかありません。これは僅かなコストだと考えることもできます。※もちろん、レバレッジが高すぎて、キャッシュフローが悪化すると、次の銀行借り入れのときにネガティブに見られる可能性があることは注意が必要だと思います。

 

このように不動産投資においては、他の投資商品にくらべてレバレッジの仕組みがたいへん優遇されています。これが、不動産が資産運用の王道といわれるゆえんなのでしょう。ただし、強制ロスカットは、証拠金以上の損失を出さないための仕組みであるというのも事実です。不動産投資では、証拠金=頭金以上に大きく損失が膨らむ可能性が常にありますし、そこには大きなリスクが潜んでいます。