『サピエンス全史』はたいへんに示唆に富んだ書籍です。
その中でも、自分の中の霞が晴れたように感じた一文が、
資本主義と消費主義の価値体系は、表裏一体であり、二つの戒律が合わさあったものだ。富める者の至高の戒律は「投資せよ!」であり、それ以外の人々の至高の戒律は「買え!」だ。
です。
資本主義というと、大量消費主義と合わせて語られることが多く、それは一面の真実です。物を買うために、サービスを買うために、いっそう時間を費やして働き、人によっては借金をしてまで消費します。
その裏側には、投資する人たちがいるわけです。たくさんの人達を働かせることで富を得、借金したい人に貸し出すことで富を得ます。
これが当たり前だと感じる社会が現代であり、人々の倫理観もこれに沿ったものに変わってきています。これが資本主義が宗教の一種であると言われる理由です。
間違いないのは、富を増やすための王道が「投資」であることです。そして世の中の原理が資本主義である限り、投資とは何なのかを理解せずに世の中を理解することはできません。
投資→事業→賃金 というふうにお金は流れるからです。しかも、この中で賃金の取り分はわずかです。こう見ると、たまに聞く「自己投資」というやつは、重要ではありますが、基本的に「賃金アップ」のためであることは注意が必要でしょう。
賃金をもらう立場から、事業を行う立場へ、そして最後は投資を行う立場へ。
これを常に意識しておくことが、大事なんだと改めて思います。