FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

仮想通貨の価値の源泉はどこに?

仮想通貨の市場がぱっとしませんね。1月にがっと下がってから、Bitcoin価格自体も100万円を行ったり来たり。

 

さて、バブルの再来という話や、まともな投資家は手を出さないといわれる仮想通貨について、今回はちょっと考察してみたいと思います。

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株式の価値は、それが生み出す収益にあると言われます。M&Aなどの買収時は、その企業が将来に渡って生み出すであろう利益を(割り引いて)合計した価格が企業価値となり、発行株数で割ったのが株価です。

 

ところが、Bitcoinのような仮想通貨は、通常収益を生み出しません。ここが「価値がない」と言われる1つの理由です。

 

しかし、Bitcoinと比較される「金」も、収益を生み出しません。では金価格は何を根拠に決まるのでしょうか? 1つは実需。2017年の金産出量は世界全体で3150トン。一方で、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が発表した2017年金需要レポートによれば、金消費需要(宝飾品と現物投資)は世界全体で3164.7トンだそうです。

lets-gold.net

 

この需要のうち、投資用が約30%、公的機関が約9%。残りは、宝飾用途や工業用となっています。この実需はそのまま、金の価値の裏付けと言えそうです。Bitcoinには装飾用途のような実需はありませんので、この観点では価値がないことになりそうです。金は投資用途や各国の準備金的な保管用途にも使われていますが、これも実需を背景としたものと考えることもできます。

 

ただし、装飾用途などは、金の物質としての特性だけでなく、希少性が使われる理由になっていると思います。希少性が生まれる理由は、埋蔵量が限られるということ、また採掘にコストがかかることが挙げられます。

 

この希少性という観点では、Bitcoinは金に近く、発行上限がアルゴリズムで決まっていること、またマイニングには機材の価格と電気代がかかることから、採掘コストがBitcoinの価値を決めているとも考えられます。機材価格は安くなるでしょうし、ASICなどの進歩で消費電力も減っていくでしょう。しかし、Bitcoinの4年に一度訪れる半減期は、マイニングコストを倍増させる(採掘できるBitcoinが半分になる)ので、マイニングコストは低下するより上昇していくと考えられます。

 

つまり、採掘コストがBitcoinの価値の源泉だとすれば、Bitcoinの価格は上昇し続けるという結論になります。

 

もう一つが決済用途です。金本位制が崩れた現代では、各国の通貨はその決済に使える道具として価値を持っていると言えそうです。

 

 例えば、国家が発行する通貨(フィアット)は、その国家の納税に使えることが決済価値の裏付けになります。この裏付けがあるため、店舗などでもその通貨を受け取るので、決済通貨として価値を持っていきます。

 

併せて、価格の変動が少ないことも決済用途では重要です。ハイパーインフレが起きた国の通貨は例外なく決済機能を喪失していきます。

 

この点では、納税にも使えず、店舗などでの決済もごく一部に留まり、さらに価格変動の大きいBitcoinは、決済用途での価値が大変低いと言えそうです。

 

唯一、ブロックチェーンに記載される取引履歴を見ることで分かる、NTV倍率が参考になります。これは、時価総額トランザクション金額で割ったものです。これが小さければ、時価総額に対して多くの取引が行われていることになります。トランザクション金額が大きいということは、取引に活発に使われていると言えるかもしれません。

 

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下記Coin Metricsより。BitcoinとBitcoin Cash、EtheriumのNTV推移。縦軸は対数表記。1月以降、時価総額の減少以上にトランザクションが減少し、倍率が上がっているのが分かる。

coinmetrics.io

 

 

 特に、国をまたいだ送金需要については、ドルなどのフィアットよりも圧倒的に安くて高速なのは間違いありません。政情不安な国では、自国の通貨よりもBitcoinのほうが信頼されていることも多く、それはこの送金機能に負っているように思われます。

 

こんなふうに見ていくと、Bitcoinの価値を支える根拠は脆弱で、みんなが欲しがるから価格が上がる、という典型的なバブルだと見ることもできます。

 

ただし、希少性が比較的保持されていること、国際送金需要が高いことから、他のオルトコインに地位を奪われない限り、一定の価値を持ち続けるのではないかと思っています。

 

そして、ポートフォリオ的な観点でいうと、他のあらゆる資産との価格連動性が低く、つまり相関があまりないため、うまく資産に組み込むことで、トータルリターンを上げられる可能性もあると思っています。

 

そのため、総資産の3〜5%を目処に、さらに仮想通貨自体も時価総額シェアでポートフォリオを組んで、保有したいと考えています。